影がいるから私がいる
当然といえば当然の質問で、私も疑問に思った。
当の本人は、私やお父さんの不安を打ち消すような凜とした声で、理由を話し始めた…。


「まずは沙楽国国王に会い、事情を説明します。
そして打開策を見付けるつもりです。
当時は原因が解らなかったけど五百年も経った今なら、原因・解決策が見つかるかもしれません。
ただ何もしないで、海希さんと別れるなんて嫌です…結論を出すのは、やれる事をやった後にします。」


私はりっちゃんの気持ちが嬉しくて、泣いていた…。

そうだね…諦めるんじゃなく、やれる事は全てやろう…あなたと一緒に…。


りっちゃんの決意を聞いて、お父さんが口を開いた…。


「そうか…分かった…やれるだけやってみると良い…。

ただし、二人が成人する三日前には村に戻ってきなさい…。


それが守れるなら、認めよう…。」


私とりっちゃんは顔を見合わせ頷きあった。

そして、机の下で手を固く握りあいながらりっちゃんが答えた…。


「はい…! 必ず戻ってきます…ありがとうございます!」


礼を言い頭を下げたりっちゃんに、お父さんは手でそれを制した。


「礼はいい…これからの行動・そして結果で示してくれ…。

相賀君…海希を頼んだよ…。」


「はい…!」



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