影がいるから私がいる
「海希…ごめんな…。
決して楽じゃない神留無への旅だなんて…
本当は一人で行こうと思ってたんだけど、やっぱり俺達二人の問題だから付いてきてもらいたいと思ったんだ…」

りっちゃんは優しいなあ~。
謝る事なんか無いのに…

「りっちゃん…私は私の意思で付いて行こうって決めたんだから。

謝る必要は無いよ…
二人で頑張ろうよ。」


私の素直な気持ちを言うと、りっちゃんは私の手を取って頷いた。


「ああ…。」


ん?何か良い雰囲気じゃないかな?


私の部屋でりっちゃんと二人っきり…手を繋ぎあってる恋人同士…。


これはもう、今度こそだよね!
前回はでこぴんされちゃったけど、今日こそは!


ドキドキしながらりっちゃんの顔を見つめてた私は、ゆっくりと目を閉じた…。



「おーい、海希ー。
二人だけで大丈夫かー?手伝おうかー?」


階下からのお父さんの声に、二人して飛び上がって驚いてしまった…。


…お父さ~ん…娘の勝負の時を邪魔しないでよ~…。


「ぷっ…」


見ると、りっちゃんは懸命に笑いを堪えていた。

「りっちゃ~ん…一体何がそんなにおかしいのかな~?」


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