影がいるから私がいる
視えて視えない運命
私達は大婆様の家の扉の前に立ち、りっちゃんがノックをしようとした。

…ノックをする直前に、中から声を掛けられた。

「淕に海希だね?
入りなさい。」


その言葉に私達は驚いた。
ノックをしてないのに気付いた事・扉の前に居るのが私達だと解った事に…。


「失礼します。」


私達は扉を開け、中に入った。

中は広い部屋が一つに、台所があるというシンプルな造りになっており、大婆様は部屋の一番奥に座っていた。


「よく来たね。
ほら、こっちに来て座りなさい。」


手招きされた私達は、大婆様の目の前に置いてあった座布団に座った。


「お久しぶりです、大婆様。」


りっちゃんがお辞儀して挨拶すると、そのお辞儀を制するように大婆様が手を前に出した。


「堅苦しくしなくて良いよ。
用件は…神留無に行くんで、村長に言われてワシの所に来たんだね。」


「!?」


私達は驚き、二人揃って大婆様を見てしまった。
私達の視線に気付き、大婆様は笑いながら私達が問うだろう疑問に対する答えを話し始めた…。


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