影がいるから私がいる

疑問が重なる運命

「やっと着いたね、りっちゃん♪」


「ホントにようやく着いたな…。」


神留無に行く途中にある村…深羅の入口に立った私たちは感慨深く言った。


「まずは深羅の村長に会いに行くか…よし、行こうか海希。」


「うん。」


村に入って思った事……人の気配が全く無いんだよ…。

りっちゃんも不思議に思ったらしく、疑問符を顔に浮かべていた。


「…とにかく、一番大きな建物に村長が居るはずだし、探してみるか。」

「そうだね。」


私たちは村長の家を探す為に村の奥へと向かった。
そんなに広くはなかったようで、あっさりと村長の家らしい建物が見つかった。


「多分ここだな…。
よし…入ってみるか。」

私は無言で頷いた。
何というか、この村を覆う嫌な雰囲気が、私から一時的に言葉を奪ったように感じた。


「失礼します！
藍那村から来た者ですが、どなたかいらっしゃいませんか？」


…りっちゃんの問い掛けは真っ暗な部屋の奥の闇に溶けていった…。

何か嫌な感じだな～…。二階へ続く階段があるんで、行かなきゃいけないんだろうけど…嫌だ～。