影がいるから私がいる
「…うーん、何か枕が柔らかいな~。
肌触りも良いし~。



「大丈夫か…?」


「う~ん、あと五分~。…えっ!?」


目を開けると、りっちゃんが私の顔を覗き込んでいた。

私が枕だと思っていたモノは、りっちゃんの膝だった。


「わっわっ!ごめんねりっちゃん!」


私は慌てて起き上がり、りっちゃんに平謝りした。


するとりっちゃんは笑顔で、


「気にすんなって。
それより海希…さっきの返事は?」


りっちゃんの言葉に、私はキョトンとした。


「返事?」


私は自分の中の記憶を必死に探っていった…。

(えーと…りっちゃんに膝枕されてて…何で膝枕されたか…?
気を失ったから…何故?

「海希…俺、お前の事が好きなんだ!!
俺と付き合ってくれないか?」




「あ…」


全てを思い出し、またもゆでだこ状態になってしまった。


「あー…えーと…むー…、こ・こんな私で良ければよろしくお願いしますです。」


ゆでだこ状態のまま、私はりっちゃんに向かってお辞儀をした。

顔を上げると、りっちゃんは今まで見た事がないくらいの笑顔で私を見ていた。
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