影がいるから私がいる
私の言葉に目の前の老人は、この世のモノでは無いモノを見たような顔になっていた…。


「あ・藍那…。呪われた村の者か…!?
去れ!!儂らの村は貴様らに滅ぼされのだ!!」

「!?」


突然の村長の言葉に対して、私たちは驚いた。
こちらとしても訳が分からないままなので、りっちゃんが問い掛けた…。

「ど・どういう事ですか!?
説明して下さい!!」


りっちゃんの問いに対して村長は、手元にあった書物をこちらに投げ付けながらまくし立ててきた!


「貴様らに今さら言う事は無いわ!
藍那村のせいで儂らの村が…早く出ていかんと許さんぞ!!」


村長のあまりの剣幕に、りっちゃんは慌てて私の腕を取り、村長の家を出た。


深羅村の出口に差し掛かった所で、私たちはその場に座り込んだ…。


「一体どういう事なんだ…?
藍那のせいで深羅村がこんな風になったっていうのは…?」


りっちゃんの疑問に私も同意した。


「ホントに分からないよ…。
お父さんに聞けば何か分かるかもしれないけど、今から戻る訳にもいかないし…。」


りっちゃんが立ち上がり、出口の方を見ながら呟いた。


「とにかく神留無に行くしかないな…。
よし!気持ちを切り替えて行こう!

行くか、海希?」


「そうだね…。行こう、りっちゃん!」


分からない事ばかりだけど、とにかく神留無に行くしかないもんね。


…神留無に行けば、全てが分かるのかな…?
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