影がいるから私がいる
「頑張ってね、りっちゃん♪」


「おー…」


私が励ますとりっちゃんは、左手を力無く上げて返事をした。

ホントに頑張ってね。


そうやって話している内に、私達は藍那に辿り着いた。



村に入るとりっちゃんが聞いてきた。


「なぁ海希…今日村長に話しに行った方が良いかな?」


りっちゃんの言葉に私は悩んだ。
確かに言うなら早い方が良いんだろうけど…夜も遅いからな~…。


「もう遅いから、明日の方が良いと思うな。」


私の提案にりっちゃんは頷いた。


「うん。そうだな。
今日は帰ってゆっくり寝て、明日の戦いに備えるよ…。」


りっちゃんの言葉は徐々に小さくなっていってしまった。



「それじゃありっちゃん、おやすみなさい。」


私が言うと、りっちゃんは私に向かって手招きをした。


私が「何だろ?」って思いながらりっちゃんの前まで歩いて行ったら、りっちゃんが「目をつぶって」って言われちゃった…。


この時私の心臓は、鼓動が速すぎて別の生き物みたいになっていた。


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