明日にかける橋
「私ね、ずっと考えていたの。毎朝毎朝、満員電車に乗るたびに、なぜここにいるんだろうって。物みたいにギュウギュウ詰め込まれて、イライラと殺気立って。優しさなんか忘れてしまう。心が冷たく凍りついてしまう。それでも会社に着けば、明るいふりして、笑顔で1日過ごしているのよ。ちっとも楽しくないくせに、笑いたくなんてないくせに。疲れて帰っても、誰かが待ってるわけでも、何かがあるわけでもないわ。会社だって家だって、その場所にいるのは、私じゃなくてもいいんだわ。誰でもいいの。誰だってかまわないのよ。」