明日にかける橋
「でも、じゃあどうしたらいいの。私はいったい何がしたいの。何ができるの。自分の気持ちがわからない。自分のことなのに、何も、何も、わからない。」
 彼女のほおを、みるみるうちに、大粒の涙がこぼれ落ちていきます。
「こんな毎日なんて、もうたくさん。私、疲れてしまったわ。もう、何もかも、すべて消してしまいたい。そうよ、私ごと全部、消えてしまえばいいんだわ。」
 彼女の叫び声は、激しい雨音さえも飲み込んで、まるですべての音が消えたかのように、辺りはしんと静まりかえるのでした。
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