ダメな彼女でごめんなさい
「壱成くん?誰か来てるの?」

リビングを開けると誰もいない。しかし、テーブルの上にはグラスとワインが置かれ、昼食を食べるのに使ったのか、皿や調理器具が洗われることもなく放置されている。

「何これ……。しかもお皿、二人分?」

結衣がぐるりと部屋を見渡すと、寝室のドアが少し開いていることに気付く。中から人の気配もした。

「壱成くん、寝室にいるの?」

結衣が寝室のドアを開けると、そこには見たくもない光景が広がっていた。裸の壱成が同じく裸の見知らぬ女性とベッドで横になっている。床にはお互いの服や下着が落ちていて、嫌でもどういう状況かわかった。

「あれ?帰ってきてたのかよ」

壱成は呆然とする結衣を見つめる。壱成に抱き着いている女性は見下すような目を結衣に向け、「あんた、壱成から愛されてなんかないよ。彼が愛してるのはわ・た・し」とクスクス笑う。

「……どういうこと?浮気してたってこと?」

結衣が震える声で訊ねると、「浮気じゃねぇよ!」と壱成はニタニタと笑いながら言った。
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