ダメな彼女でごめんなさい

「お前、つまんねぇから本当の愛ってやつを見つけただけ。理解したらさっさと荷物まとめて出てけよ。こいつと同棲するわ〜」

「バイバ〜イ！」

怒りと悲しみが心を支配する。捨てないで、ふざけないで、頑張ってきたのに、言いたいことは山ほどあった。でも、何も言うことはできず結衣はそのまま家を飛び出す。悔しくて、悲しくて、涙が止まない。

泣きながら走っていると、誰かにぶつかってしまった。結衣が「ごめんなさい」と謝り去ろうとすると、「結衣ちゃん！？」と手を掴まれる。偶然にもぶつかったのは仕事帰りの翔だった。

「どうしてこんなに泣いて……」

戸惑う翔に、結衣は泣きながら先ほどのことを話す。翔は怒りを見せたものの、結衣を抱き締めた。

「辛かったね。大丈夫だよ、僕がついてる」

優しく頭を撫でられ、翔の腕の中で結衣はさらに泣いてしまう。翔はいったん結衣が落ち着くまで待ってくれた。

「気分直しに飲みに行こう。いいバーを知ってるんだ」