ダメな彼女でごめんなさい
「ただいま……」

ドアを開けて結衣が言うと、テレビゲームをしていた恋人の江頭壱成(えとういっせい)は結衣の方に見向きもせず、「あぁ」と気の抜けた返事をする。

壱成の周りにはお菓子の袋が散乱し、机の上には頼んだのであろうピザの空箱がそのまま置かれ、洗濯物はベランダに干しっぱなし、掃除機もかけられていないようだ。その様子に結衣はさらに疲れが押し寄せてくる。

「ねえ、今日も家にいたんでしょ?ちょっとくらい家事をしてよ……」

壱成は大学を卒業してから、定職には就かずにアルバイトを気ままにする生活をしている。正社員の結衣よりも圧倒的に自由な時間が多いはずなのだが、壱成は家事を全くすることはせず、遊び回っているだけだ。

「壱成くん、聞いてるの?」

結衣がそう言うと、「うっせえな!」と壱成はコントローラーを乱暴に置いて結衣を睨み付ける。怒鳴られ、びくりと結衣は肩を揺らした。

「人がゲーム楽しんでる時にグチグチ言うなよ。気分悪ぃ!家事は女の仕事だろ!?」
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