ダメな彼女でごめんなさい

「家事は女の仕事って……。私、残業をする時だってあるんだよ？今日みたいに遅い日だってあるし、仕事から帰ってずっと家事をするなんて無理だよ。やらなきゃいけないことだってあるのに……」

結衣が必死に訴えるも、「知るかよ」と壱成は知らん顔で出かける時用のブランドのかばんを手にする。

「どこ行くの？」

「お前には関係ないだろ。部屋汚ねぇから片付けて、洗濯物畳んで、俺が夜中に帰ってくるかもしれねぇからまともな夜食用意しとけよ！」

それだけ言い、壱成は部屋を出て行く。バタンと乱暴に閉められたドアをを見つめ、泣きそうになるのをグッと堪える。

これがいつものことだ。結衣が少しでも不満を漏らせば、壱成は怒って家を出て行く。そして、壱成のSNSに「家事も仕事もできない彼女に追い出された〜」と愚痴を呟き、壱成と仲のいい女友達たちが「え〜、ありえな〜い！」「かわいそ〜」と返事を返している。

「ダメな彼女ってこと……」