ダメな彼女でごめんなさい
ゴミを片付け終え、洗濯物も畳み終わったとはいえ、まだ掃除は済んでおらず、食事も疲れていない。情けなくなって俯く結衣の頭が優しく撫でられた。翔はいつも優しく微笑んでいる。

「大丈夫。僕も一緒にやらせて?そのために来たんだから……」

その目は優しいけど、どこか切ない。結衣は「ありがとう」と言い、翔を家の中へと入れた。

翔は掃除機をかけてくれて、洗濯物も片付け終えると、遅い夕食を作っている結衣のところへ来て「僕もやるよ」と言ってくれる。

「翔くん、ご飯まだ?よかったら翔くんのも作るよ。お礼にしてはアレかもだけど……」

結衣が微笑むと、「すごく嬉しいよ!結衣ちゃんのご飯が食べられるなんて」と翔は頬を赤く染めて言う。結衣は野菜を炒める手を止め、翔を見つめる。その目には涙が滲んでいた。

「……今日のご飯、野菜炒めだよ。ローストビーフとか、カナッペとか、凝ったものじゃないよ?」

「何言ってるの?凝った料理じゃなくても、結衣ちゃんのご飯はすごくおいしいんだから」

お味噌汁するよ、そう言い味噌を鍋に入れる翔を見ていると、結衣は壱成が正しいのかわからなくなってしまうのだ。今も気持ちがぐちゃぐちゃになってよくわからない。
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