ダメな彼女でごめんなさい
「また来てね」

閉められたドアが少し寂しくて、結衣はこの気持ちは何なんだろうと胸にそっと触れた。



壱成と付き合うようになったきっかけは、彼と同じサークルに入っていたことだった。違う学部だったのだが、サークルで初めて彼と会った時、彼の方から結衣に話しかけてきたのだ。

「茅原ってさ、アイドルの××ちゃんになんか似てるよな〜」

そのアイドルは今人気急上昇中の人物で、そんなわけないとすぐに結衣は否定した。結衣はアイドルのようにみんなから羨望の眼差しで見られ、キラキラした毎日を送っているわけではない。ただ、勉強と読書が好きな普通の女子大生だ。

「いやいや、マジで似てるって!」

そう言う壱成も、結衣とは真逆のタイプだった。みんなの中心にいて、いつも笑っていて、そんな彼に結衣は少し憧れを抱いていく。

壱成は結衣にたくさん話しかけてくれて、よく二人で遊ぶことも増えた。そして、結衣は彼に惹かれて告白し、付き合うようになったのだ。
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