明暗フェイス
「カッコ悪。」




私はおじさんに向かってそう言っていた。




「何?」




おじさんが私の方に視線を向ける。




疲れて淀んだ瞳で私を睨みつけているおじさんを相手に私は、怒鳴った。




「格好悪いっつってんだよ!!
こいつらはただ芸人になりたいって夢を叶えるために必死でこんな寒いとこで漫才なんかやってんだよ
それを仕事で疲れた憂さ晴らしに当たられる筋合いなんかないんだよ




皆必死に頑張って








・・生きてんじゃん。」




感情が高ぶり過ぎて、不覚にも泣いてしまった。
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