【完】華道家の若旦那は、ウブな彼女を離したくない。
◇華道展
『ごめん、花陽。俺、彼女が妊娠した』
大学生の頃、付き合っていた蓮美は、そう言った。
『……な、によ……それ』
『本当にすまない! 一度過ごしただけで、出来るなんて思ってなかったんだ』
付き合って3年、卒業したら結婚しようとプロポーズされたのは数日前だった。
なのに……。
『別れてくれ』
その言葉に私は頷くしかなかった。それにまだお互いの両親に挨拶していなかったから、穏便に済ませられた……と思っていた。
だけど、大学の友人には婚約破棄を知られて同情された私は、居づらくなり大学を退学した――それから四年後。
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