【完】華道家の若旦那は、ウブな彼女を離したくない。
「大丈夫だよ、代行サービスを頼むから」
「え、でも……」
「今日は、小妻さんにお礼としての食事だから遠慮はしなくていいんだよ」
千賀さんは「この話はおしまい」と言い手を叩けば、扉から音が聞こえると仲居さんは配膳を始めた。
「小妻さん。改めてこの度はありがとうございました。あの日は実は若旦那としての初めての仕事だったんです……恥ずかしい限りですが、動揺してしまいました」
「そうだったんですね……お役に立てて良かったです。それにパフォーマンス素敵でした! すごかったです」
本当に感動的だったなぁ。
「それは良かった。小妻さんに言ってもらえるのは嬉しいな」
「みなさんそう思ってると思います! あ、そういえば……あの日走ってきてくれた……えっと、霧島さんが持ってきてくれたプリンとお茶美味しかったです。ありがとうございました」
「……ああ、霧島は俺の一番弟子のような奴なんだ」
「そうなんですね、お礼伝えてください」