【完】華道家の若旦那は、ウブな彼女を離したくない。
「……すみません、ごめんなさい」
「小妻さん」
「は、はい」
「僕は、あなたが好きです。出会った日から、ずっと」
……え?
「告白する前から断られましたが、僕は諦めません」
「それにはどうしても答えられません。それに、千賀さんには私よりも素敵な人がいらっしゃると思います」
私は居た堪れなくなって、カバンから財布を出すと一枚のお札を取り出して「これお金です。足りなかったら連絡してください」と言って個室から出た。
料亭の仲居さんに挨拶をすると私は建物から急いで出て大通りまで歩き、タクシーで帰った。