【完】華道家の若旦那は、ウブな彼女を離したくない。
「ごめんなさい……千賀さん、あの」
「お見合い、するの?」
千賀さんの言葉にはなぜか『僕とは結婚しないのに』というのが含まれている気がする。
「しません、お見合いなんて」
「じゃあ、僕と結婚しよ? ねっ?」
笑顔でそう言われて、ああこの人となら結婚いいかもなんて思ってしまう。
根拠もないのに千賀さんはきっと裏切る人じゃないと思うなんて……馬鹿だ。
「……わかりました、千賀さんと結婚します」
まあ、地元に帰ってお見合いが嫌だったということもあるんだけど。