【完】華道家の若旦那は、ウブな彼女を離したくない。


「ご両親に挨拶に行かないと……」

「そうですね。でも貴敬さんは忙しいんじゃ」

「大丈夫。そんなこと日程を組み替えればいいんだよ。花陽ちゃんとのことの方が大事」

「あ、ありがとうございます」


 貴敬さんって、優しすぎる……。

 前から優しさの塊だったけど、なんか優しさに甘さのオプションがついたみたいな……そんな感じ。



「俺の実家にも一緒に行ってくれる?」

「もちろんです」

「おばあ様……花山院流の大女将なんだけど」


 大女将ってもしかして!


「千賀かえでさんですか!?」

「うん、あれ知ってた?」

「はい! もちろんです! 私、かえでさんのファンで……」

「えっ、そうなの?」


 うわ〜かえでさんに会えるなんて幸せ……憧れの方が身内になっちゃったってことだよね?


「おばあさまも喜ぶよ、花陽ちゃんに早く会いたいって言ってたし……実家は京都だし旅行もしよう」

「はい!」


 旅行かあ……なんだか久しぶりだな。楽しみかも。
 そういえば私、仕事とか住まいはどうしよう。


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