【完】華道家の若旦那は、ウブな彼女を離したくない。
「花陽ちゃん、中はいるよ」
「すっごいですね……なんか世界が違う」
まるで上京したてのようにキョロキョロしてしまう。いろんなものがキラキラしていて言葉にできない。
「え、シャンデリア……」
「ふふっ、花陽ちゃん反応が可愛い。コンシェルジュさんに挨拶に行こう」
「あ、はい!」
エントランスのエレベーターフロアの手前で出迎えてくれるのはコンシェルジュの人たちだ。
「いつもお疲れ様です、この度結婚したので妻もお世話になります」
つ、妻……なんかこしょぐったいなぁ。
「はじめましてコンシェルジュの山下と小林です。午前九時から夕方の十七時までは私たちが担当しています。よろしくお願いいたします」
綺麗なお辞儀……この二人の雰囲気も綺麗で煌びやかだ。
「こちらこそ、妻の花陽です。よろしくお願いいたします」