【完】華道家の若旦那は、ウブな彼女を離したくない。


「じゃあ、乾杯」

「……乾杯」


 葡萄の香りと濃厚な味わいで、すごく美味しい……本当に結婚しちゃったんだなぁ。


「花陽ちゃん、キスしたい」

「……えっ?」


 貴敬さんは、ワイングラスをテーブルに置くと私のグラスもテーブルに置いた。すると、彼は私の右頬に手を触れた。


「……っ花陽ちゃん」


 そう名前を呼ぶと、私の唇に親指で触れた。そして、彼の唇が私の唇に触れるように重なる。


「――んんっ」



 優しく触れるだけだったキスが重なる時間が長くなり、チュッチュっと音を立てる。

 息が出なくて苦しくなるが、気持ちよさも襲い快感に溺れそうだ。


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