【完】華道家の若旦那は、ウブな彼女を離したくない。
「なんでばあちゃんが来て喜ぶわけ? 普通は嫌だろ」
と、亜貴さん。そりゃそうだよね、普通なら恐縮している状況だ。
「普通はな、だけど花陽はばあちゃんのファンだから」
貴敬さんは思い切り暴露した。
「え、そうだったの?」
「はい……ずっとかえで様のファンで、一度京都の華道展にもお邪魔させていただいた時に感動して」
「嬉しいわ〜こんな若くて可愛い子に言ってもらえるなんて、そんな子がお嫁さんだなんて」
笑う仕草も上品で綺麗。なんだか浄化される……。
「花陽さん、もう前のことになるんだけど……貴敬のミスで助けて頂いたみたいで本当に助かったわ。花山院流の大女将としても感謝しているの」
かえでさんは、綺麗なお辞儀をするとそれに続いて亜貴さん、貴敬さんもお辞儀をした。
「い、いえっ! あ、頭をお上げください……わ、私も感謝しています。貴敬さんのような人が私と結婚してくださって……」
過去に婚約破棄された私なんかと……貴敬さんにも言ってないけど。
「本当にお優しいのね、そうだわこの前送ってくれたお紅茶本当に美味しかったわ。ありがとうね」
「喜んでいただけてよかったです」
かえでさんは煎茶よりも紅茶が好きらしくいろんな茶葉をお取り寄せしているらしくて私は結婚報告とともに茶葉を送ったのだ。喜んでもらえてよかった……。