【完】華道家の若旦那は、ウブな彼女を離したくない。



「……どうかされました?」


 そう聞くと貴敬さんは、後ろから私を抱きしめる。


「祖母に何か言われたんじゃない?」

「えっ?」

「……子どものこと、とか」


 ――ドクンッ
 心臓が嫌な音を立てる。


「……私、頑張ります。貴敬さんの負担にならないように」


 ――今度は、捨てられないように頑張らないと。


「祖母のことは気にしないで、俺たちのペースでいいんだから」


 ――捨てられないように、本当に。



< 53 / 64 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop