【完】華道家の若旦那は、ウブな彼女を離したくない。
「……どうかされました?」
そう聞くと貴敬さんは、後ろから私を抱きしめる。
「祖母に何か言われたんじゃない?」
「えっ?」
「……子どものこと、とか」
――ドクンッ
心臓が嫌な音を立てる。
「……私、頑張ります。貴敬さんの負担にならないように」
――今度は、捨てられないように頑張らないと。
「祖母のことは気にしないで、俺たちのペースでいいんだから」
――捨てられないように、本当に。