【完】華道家の若旦那は、ウブな彼女を離したくない。
◇わたしの過去
「……美味しい」
貴敬さんは、夕食に肉じゃがを作ってくれて今は二人で食べている。
「よかった」
「貴敬さん、さっきはごめんなさい……」
一度箸を置いて、私は頭を下げた。
「頭上げて。俺は気にしていないから、大丈夫」
「ありがとうございます、貴敬さん。ご飯が終わったら話したい、です」
「じゃあ、今日もらったクッキーをお供に紅茶でも飲みながら話をしよう」
優しく微笑んでそう言った彼は「冷めちゃうから食べよ」と言って私に食べるように促した。私は、頷くと肉じゃがを再び食べ始めた。
お出汁と調味料の味付けが本当に美味しい。じゃがいもはホクホクしているし……本当に彼は料理上手だ。