【完】華道家の若旦那は、ウブな彼女を離したくない。
それから、食器のお片付けをしてお風呂を済ませると貴敬さんがお茶の準備を完了させていた。
「花陽ちゃん、ミルクはいる?」
「いえ、大丈夫です」
「じゃあブランデー入れてもいい?」
「はい、……お願いします」
貴敬さんはティースプーンでブランデーを二杯入れると私の前に置いた。
「……ありがとうございます」
私はティーカップをもち、一口飲んで小さく彼には聞こえないように深呼吸をする。
「貴敬さん、最初に食事に誘っていただいた時に『誰とも恋するつもりはない』と私が言ったの覚えてますか?」
「あぁ、うん覚えてるよ」
「私は大学生の頃、恋人に裏切られました。卒業したら、結婚する約束をしていて……けど、就活に入る前に、他の女の子を妊娠させたから別れたいと言われて別れました。それから、噂が広まって大学は退学したんですけど、それから恋愛が出来なくなったんです」
あれからも恋愛をしようと働きながらだけど、付き合った人はいる。だけど、彼らのことが信じることができなかった。