【完】華道家の若旦那は、ウブな彼女を離したくない。
――それからまた三年の月日が流れた。お腹の中にいた赤ちゃんは出産日の日に生まれた。
男の子と女の子の双子で目元が貴敬さんに似ている。
「薫くんも華菜ちゃんもこっち向いてー」
今日はずっとできなかった私と貴敬さんの小さな結婚式。
今は集合写真の撮影をする時間だ。兄の薫はかえでさんに抱えられ妹の華菜は私のお父さんに抱えられている。
私が上京してから疎遠になっていた両親だけど、二人が生まれて出産報告をするとすぐに飛んできてくれたのはもう三年も前のことだと思うとなんだか懐かしい。
「じゃぁ、行きますよー」
カメラマンの掛け声に、前を向くとすぐにシャッター音がした。
初めての集合写真のはずなのに二人が可愛く笑っていて本当に天使のようだ。
その横にいるタキシードを着た貴敬さんは「天使が三人もいる」と目をキラキラさせながら言っていてなんだか笑ってしまう。