溺愛ウエディング~最後の夜に授かった赤ちゃんは社長の子、もう二度離さない~
「加那斗さん・・・私…」

黙っていた七海が意を決したような表情で口を開いた。

俺も七海の様子を見て、ゴクリと唾を飲んで身を構えた。

「…私…十四歳の時から高校卒業するまで性的虐待を受けていました。子供も中絶しました・・・だから、逃げるように東京の大学に進学して、家を出ました。それ以来、実家とは縁を切り、連絡していません」

「・・・」

「貴方には知られたくないとずっと思って来ました。でも・・・私はこの先…貴方と奏多の三人で生きていきたい…」

「俺も三人で生きていきたい…それが俺に隠してた君の全てだね…俺に話してくれてありがとう…七海。
俺は君の全てを受け止める…三人で頑張ろう…」


「加那斗…さん」

彼女の瞳から溺れる涙。

「泣かないでくれ…七海」

「だって…嬉しくて・・・」

言葉ではそう言いながらも、彼女の全てを受け止める。俺側としても、信じられない事実だった。

でも、俺に嫌われる覚悟で、長年心の中に仕舞っていた誰にも言えない秘密を話してくれた七海。

俺はそんな彼女を幸せにしないと。




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