溺愛ウエディング~最後の夜に授かった赤ちゃんは社長の子、もう二度離さない~
俺は部屋に帰宅して、七海にチケットを見せた。

「凄い…このリサイタルチケット…巷ではプラチナチケットと言われていて手に入りにくいんですよ…」

裕美の夫・東雲志朗(シノノメシロウ)は長身に甘いマスクの持ち主。
数々のピアノコンクールで優勝を果たし、ピアニストとして世界を股にかけて活躍。

そして、同じくピアニストの裕美と二度目の結婚を果たした。

「だけど…裕美からの招待状だぞ…お前…五年前…裕美にいびられたコトを思い出せっ!」

「そんなコトもありましたね…」


「・・・俺はよーく憶えてるぞ…君がいびられて泣いていたコトも…」

「考えてみれば…当時の別れた恋人も東雲さんだったんでしょ?」

「まぁな」

あのまま何も知らず、裕美の結婚を受け入れ、流産しなかったら、東雲さんの子を実子にされるトコだった。

「・・・今になって…私も裕美さんのキモチが分かりました…スキな人の子を産みたいキモチが…」

「・・・でも、裕美の子は流産した…まぁ、裕美とはあの時の謝罪をしないと」

俺は挙式当日にドバイに逃げた。

その謝罪もしないと。

「行くんですね…」

「あぁ」

「私も行きます・・・」

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