溺愛ウエディング～最後の夜に授かった赤ちゃんは社長の子、もう二度離さない～

「裕美…入るよ」

ノックして東雲さんが控室に入って来た。

「志朗・・・」

東雲さんの傍らにはブラックスーツの奏弥さんも居た。

「相良先輩、早速裕美さんに会いに来たんですか？」

「何だ!?お前も来てたのか…」


「まぁね…」

「初めまして…相良さん…裕美の夫の東雲志朗です」

写真やテレビで観るよりも、カラダの線は細かったけど、理知的で優しそうな雰囲気の人だった。
東雲さんと奏弥さんが従兄同士には驚いた。

槇村家とは五年の付き合いなのに、私にはまだまだ知らないコトがあった。

加那斗さんと東雲さんは握手を交わす。

「…裕美の元許婚が奏弥の学校の先輩とは…世間って狭い…」

「・・・全くですね…」

二人は笑い合い、頷き合った。