溺愛ウエディング~最後の夜に授かった赤ちゃんは社長の子、もう二度離さない~
開演五分前を告げる館内放送が流れる。

次第に煌煌とした明かりが消え、舞台の幕が上がった。

二台のグランドピアノにその周りを囲むようにオーケストラたちが並んでいた。

「クラシックの音楽は赤ちゃんの胎教にいいらしいわよ」

「そうなのか?」

「うん」

「あのね…加那斗さん」

「何?」

「私…二人目がデキたかもしれない・・・」

「えぇ~っ!!?」

加那斗さんは余りの驚きで、大声を上げ、シートから立ち上がってしまった。

静かな館内に響く彼の声。

彼は慌てて腰を下ろして、恨めし気に私を見る。
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