溺愛ウエディング～最後の夜に授かった赤ちゃんは社長の子、もう二度離さない～

裕美さんは加那斗さんの腕に腕を絡めていた。

二人は『アクティビティコンサルティング』の取締役・伊集院康秋(ｲｼﾞｭｳｲﾝﾔｽｱｷ)社長に挨拶をする。
伊集院社長は相良家の分家の人間。
本家の加那斗さんを幼い時から知っていた。
『エルネ』がここまで企業として成長したのは、伊集院社長のコンサルタントの賜物。


私は遠目でその様子を見つめた。

ああやって、二人で挨拶回りをして、婚約を周囲に広めていく。

加那斗さんがどんなに裕美さんとの結婚に抗っても、昔から決められていたコト、容易に解消はできない。
「皇さんの言う通り…潮時かもしれませんね…」

「笹倉は辛いと思うが…仕方がない…」

「皇さん…」