溺愛ウエディング~最後の夜に授かった赤ちゃんは社長の子、もう二度離さない~
俺は意を決して彼女の元に行った。
キッチンの下にしゃがみ込み、声を押し殺して泣いていた七海。

その表情に俺の胸がキュッと締まる。

彼女の心の痛みは俺の痛み。
俺達の心はシンクロしていた。

女性とこうして心を通い合わせ、こんな風にキモチを共有し合うのは初めてだった。

快楽を共有し合うのとはまた違う感覚。

俺は彼女の涙を指で拭った。

もっと早く彼女の元に来て、抱き締めてやればよかったと後悔した。
でも、俺も彼女の知らざる過去を知り、心の整理が付かなかった。
そして、今だって…

金の為とは言え、七海は見ず知らずの男たちの性処理をしていたんだ。

想像するだけで嫉妬で狂ってしまいそうだった。

過去は過去として忘れ去り、二人で未来を見られたら、どれだけいいだろう。

進んでいく裕美との結婚話に俺達は追い詰められていた。





< 43 / 136 >

この作品をシェア

pagetop