溺愛ウエディング~最後の夜に授かった赤ちゃんは社長の子、もう二度離さない~
『東亜医科大付属病院』

俺は裕美が居るVIP専用病棟の病室を訊ねた。

「加那斗君、いらっしゃい」

裕美の母親・林田尚子(ハヤシダナオコ)さんが付き添っていた。

裕美の母親は若かかりし頃、世界を股にかけたバイオリニストだった。母親の影響もあり、裕美もまた音楽の世界に入った。

「加那斗…」

青白い顔をした裕美がベットに横たわっていた。

その脇には高校時代所属していたサッカー部の後輩・槇村奏弥(マキムラソウヤ)が居た。

「産科医の槇村です…」

「とりあえず話は後で訊きますので、まずは裕美と二人にしてくれますか?」

「分かりました…」

奏弥は裕美の母親と共に退室した。


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