溺愛ウエディング～最後の夜に授かった赤ちゃんは社長の子、もう二度離さない～

「どうぞ…コーヒーです」

湯気の立つコーヒーの入ったカップをトレーに載せて、デスクにそっと置いた。

「ありがとう…」

クセの無い黒の前髪を掻き上げて礼を言うと、早速一口コーヒーを啜る。
笑うと少し垂れ目になる愛嬌のある切れ長の瞳、高い鼻梁、キレイな木の葉型の程よい肉厚のある唇。
長身で細身のスタイル。
彼のスタイルに誂えたスーツがすべてブランド物。
御曹司の気品を持ち、仕事も出来るハイスペックな人が私の主であり、恋人。
「君の淹れるコーヒーを美味いよ…俺に対する愛情が篭っているからね」

「し、社長！？」

彼の言葉に声が上擦ってしまった。

「週末の君はとても笑って、色っぽいのに…月曜日の君は無表情だから…つい苛めてしまっただけだ。ゴメン…笹倉さん」

「社長…」

私は必死に理性で抑え、秘書を演じきっているのに、ペースを乱され、動揺した。