溺愛ウエディング~最後の夜に授かった赤ちゃんは社長の子、もう二度離さない~
******
案の定、常盤の妻・杏花さんは入院した。

『東亜医科大付属病院』
この病院に足を運ぶのも裕美の流産以来。
奏弥に会うのもあの時以来だ。

杏花さんの病室も『VIP専用病棟』

「!?相良先輩?」

杏花さんの病室から出て来たのは奏弥だった。

「奏弥か・・・」

俺は突然の七海の夫の再会に戸惑ったが、ぎこちない笑いを口角に浮かべ、再会を喜ぶ振りをした。

「全く…あの時は驚きましたよ…挙式当日に逃げちゃうなんて」
「そう言えば…お前も招待していたな…」

「…で、愛する秘書の彼女とは駆け落ちして、今も一緒に居るんですか?」

「いや・・・」

その彼女はお前の奥さんだとは言えなかった。

「そうなんですか…あ・・・あれから相良先輩の元花嫁は別の人と結婚して…東亜で赤ちゃん産みましたよ。俺が担当しました…」

「そうか…」

裕美が別の男性と結婚したコトはネットで知った。
世界でも有名な日本人ピアニストだったから。
その彼がウィーンの恋人。
裕美のお腹の中の父親だった男。




< 80 / 136 >

この作品をシェア

pagetop