溺愛ウエディング~最後の夜に授かった赤ちゃんは社長の子、もう二度離さない~
廊下で話していると奏弥の院内用の携帯電話が鳴り響いた。
「槇村です…あ…はい、わかりました。今行くから…それまでお願い…」

奏弥は電話を切り、軽く息を付く。

「あ・・・先輩とはもっと話したかったけど…急ぎます」

「お前も結婚したんだな…」

「あ、はい…先輩の失踪事件があってから直ぐに結婚しました…」

七海は俺と別れた後、奏弥と知り合って結婚したのか…

「じゃまた・・・」

奏弥は白衣の裾を靡かせ、エレベーターホールに駆け出した。

今更なのに、俺は後輩に嫉妬している。
あの日、最後の夜。

彼女の手を離さず、二人でドバイに駆け落ちしていれば、今頃俺達は結婚して子供だって・・・

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