溺愛ウエディング～最後の夜に授かった赤ちゃんは社長の子、もう二度離さない～

俺は二人から離れたテーブルに腰を下ろして、タブレットを取り出し、社外秘の電子資料を眺めていた。
俺達以外誰も居ない休憩ルーム。
奏弥の声は俺の耳にも届いていた。

「これだけ妊娠経過にトラブルが起きると想像してませんでした…」

「そうですか…俺としては想定範囲内ですが…最低でも三人のお子さんの体重が1000グラム超える、二十八週目までは何とか胎内に止めておきたいと俺は考えています…それまでにもし何かあっても、万全の体制を整えておりますので、安心してください…常盤さん」

奏弥の子供じゃないとすれば、七海が連れていた子は・・・

もしかして、俺の子？

「貴方の産科医の腕を信じたいのですが…初めての経験なので…」
「奥さんだって初産です。貴方以上に不安だと思いますよ…」

「それは理解しています」

「俺が貴方方をサポートできるのは赤ちゃんたちが誕生して、この病院を去るまでの話。その先は貴方方夫婦が赤ちゃんたちを育てていきます。プレッシャーをかけるつもりはありませんよ。多胎の育児はそう簡単ではありません。でも、我々としては産まれ来た命を大切に育む支援は沢山しています。政府の行っている公的な支援だってあります。そのような情報を多く提供し、赤ちゃんの未来のバックアップは必ずしますので、気軽に色々と相談してください…赤ちゃんは天からの授かり物ですから」

「ありがとう御座います」