榊一族
長女の騒動
俺は龍之介に続いて部屋を出た。

「やめなさい、桜子。」

長男の声がする。

「いやよ!もう嫌なの!!あの探偵を今すぐここから追い出して!そうしなきゃ私この家から出て行くわ!」

長女の声だ。

「やめなさい!桜子!危ないわ!!」

俺と龍之介は走ってそこへ行った。

そこは…総一郎氏の美術室の隣の倉庫のようなところだった。

長女は手に果物ナイフを持ち、長男と夫人に止められていた。

長女のそばにはあの絵のカバンがあった。

その様子を見ると、長女はそれを果物ナイフで切ろうとしていたのだろう。

「なにしてんだよ?」

龍之介が言う。

すると長女は俺たちを睨んだ。

「…あんたのせいよ!」

長女は俺にナイフを向けて飛びかかってきた。

しかし龍之介が長女の手を掴み、素早く叩いてナイフを落とさせた。

…龍之介、お前空手か何かやってたのか?

そして龍之介は長女の横っ面を張った。

長女はその場に力なくしゃがみこんだ。

俺は呆然としていた。

皆動きが停止した。

そこへ、主が来た。

「その絵は偽物じゃ。」
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