榊一族
「桜子、明日は病院に行きますからね。」

「これ以上お前をこのままにしておけん。お前は間違いなく精神的に参っておる。」

夫人と主はそう言ったが、暫く沈黙が続いた。

「まずい!隠れろ!」

走ってくる足音がしたので俺たちは急いで隠れた。

ドアを開ける音がする。

「お母さん!!なにやってるの?!探偵さんを刺しそうになったって本当なの?!」

「蘭ちゃん、落ち着きなよ。」

亜樹奈さんの声がした。

どうやら蘭さんのようだ。


「もう…いい加減にしてよ…」

「ごめんなさい…」

長女は弱々しく謝る。

「…そればっかじゃない!!」

その声はすごくでかかった。

「私たちに何にも話さずにずーっとそればっかり!ごめんなさいだけ!!なんで理由も何も話してくれないの?!」

「蘭、大声出すのはやめなさい。」

主がなだめる。

「だって…!美鈴さんのこと好きだったんでしょ?!」

「それは今関係ないわ。」

優樹奈さんがきっぱり言った。

「う…う…ひどいよ…あの人が来てからお母さん変わっちゃったもん…」

「蘭ちゃん…」

えりさんがハンカチかティッシュを渡したようだ。泣き声が少しはおさまった。

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