榊一族
「ありがとう、優樹奈ちゃん。…真由ちゃんはほっておいていいの?」

「大丈夫、直希さんにまかせてあるから。…おばさま、絶対にまた元気になれるわ!私、信じてるから。」

「ありがとう。」

長女はやっと落ち着いたみたいだ。

「泣かせるねえ…」

龍之介がしみじみと言った。

そして勝手に歩き出した。

「え?もういいのか?」

俺は後を追いかけた。

「あの様子じゃあユッキーナにも話さねえよ。」

龍之介はまた頭をポリポリかいた。

「あ、そうだ。さっきはありがとう。」

俺は礼はちゃんと言う。

「え?何が?俺なんかしたっけ?」

龍之介はきょとんとして俺を見た。

「さっきのこと。でも相手が桜子さんだから申し訳ないけど。」

たったさっき起きたことをもう忘れてるのか。

「ああ!それか!…俺たちは相棒じゃねえかよ!じゃ、探そうぜ!」

龍之介は俺の肩を叩いて笑顔で言った。

「おう。」

俺も少し笑った。

そして部屋に戻った。
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