榊一族

「じゃ、俺たちも行くか。」

龍之介はベランダに背を向けて歩き出した。

「何処に？」

「昨日言ったじゃん！あの桜子のそっくりさんの明子の家に。」

ああ、そうだったな。昨日見つけたあの住所か。

俺たちは身支度をしてその住所まで行くことにした。

中谷「ここからだと相当距離があるな。」

俺はメモした手帳を見て確認した。

「俺の車でいこ。」

まあ車で丁度いい距離だな。

「え？いいのか？」

「うん！俺の自慢のフェラーリちゃんで行こう！」

そして俺たちは下に降りて外に出た。

龍之介が白いピカピカのフェラーリを回してきた。

「ねえ豊、免許持ってる？」

「車のか？持ってるけど。」

「俺眠いから運転して。」

めんどくさいだけのような気がするが…

「はあ…わかったよ。」

俺は運転してその住所に向かった。

そして「墨田」の表札が出た明子さんらしき人の家に着いた。

ごく普通の一軒家だな。

「龍之介、龍之介！着いたぞ。」

俺は龍之介の肩を叩いた。

助手席に座っていた龍之介は足を上に乗せてさっきからイビキをかいて爆睡していた。

「もう飲めねえよお～…ん？ああ！着いたか。」

龍之介は夢から現実に戻った。