榊一族
「イケメンな息子だね!秀によく似てさ!」

龍之介は笑顔で言った。

一昨日俺に美鈴さんと似てるって言ったくせに。

美鈴さんには似てて俺には似てないってどういうことだ?

「ありがとうございます。親の私が言うのもなんですがとても優しい子で…秀に似たんだと思います。

秀明は自分の父親を理解してくれました。今の主人も理解してくれてます…」

明子さんは泣きそうな顔をしたが顔を上げた。

「秀と付き合いだして色々な所に行きました。とても楽しかった…

でも彼の家に行ったとき…ショックを受けました。

秀の生い立ちを聞いたんです。」

そこで龍之介が突っ込む。

「秀の生い立ち?俺は聞いたことないな。」

「とても可哀想でした…」

明子さんは涙ぐんだ。

「俺が後から話すよ。」

俺が龍之介に言うと、龍之介は黙った。

「そして私は彼を抱き締めて言いました。

『秀、これからは私がいるからね。』

そのとき秀の涙を初めて見ました。

『ありがとう、明子。』

秀はそう言いました。

でも…暫く経って子供ができたことがわかったんです…
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