榊一族

『明子、最近顔色が悪いよ。学校も休みがちだけど…大丈夫？』

彼は私が学校を休みがちになったのに気づき、私に尋ねました。

『大丈夫よ。』

『ひょっとして子供ができたの？』

彼はとても鋭いんです。すぐに私の懐妊に気付きました。

『ええ…』

私が答えると彼は言いました。

『明子、一人で悩ませて本当にごめんね。』

彼は私にそう言った後、一緒に考えようと言いました。

『明子、僕は大学を辞めるよ。』

彼は父親の責任と私のことを気にかけてこう言いました。

けれど私は彼に大学を辞めてほしくなかったんです。

彼はとても優秀で周りからも期待されていたんです。それに彼自身も美術がとても好きで意気込んでいましたから…

『だめよ！そんなことしちゃ！あなたには画家としての将来があるわ！私のことは気にしないでいいから辞めないで！』

私はとても反対しました。

でも彼は譲りませんでした。

『僕は先のことよりも君と子供の方が大事だ。君の為なら僕は地位や名誉なんか要らない。』

『ありがとう…でも…私の為にやりたいことを辞めないで！それが一番辛いのよ…』

私は泣き出してしまいました。秀は黙って私を抱き締めました。