榊一族
『ごめんね明子。辛い思いさせて。』

彼は繰り返して言いました。

『明子はどうするつもりなの?』

『大学を辞めるわ。』
彼はびっくりして私を見ました。

『それこそいけないよ!君だってやりたいことをやらずに辞めるんだから!』

『じゃあどうしろって言うのよ?!大切な小さな命を守れるのは私しかいないのよ!』

私には小さな命を捨てる選択肢を選ぶことはできませんでした。

彼は私の言葉を聞くと黙って下を向きました。

『ごめん、こんなこと言うつもりじゃなかったんだ。でもわかってほしい。君を失いたくないんだ…』

彼はの手は震えていました。

『結婚しよう、僕達。』

彼は私を見てしっかりと言いました。

『暫く大学を休んで働くよ。それならやめはしないからいいだろ?君も出産までは大学を休んで僕の家で一緒に暮らそう。』

あまりにも突然なプロポーズに私は唖然としました。

『僕は君がいればなにも要らないよ。』

秀は私を心底愛してくれてたんです。

けれど…私は…

『ありがとう…でもね、秀。私の実家はとても由緒正しい家なのよ。父と母に知られたら…世間体もあるし…』

私は非常に自分勝手でした。
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