榊一族
罪悪感
「ひどい女です、私は。」
明子さんは下を向いたまま言った。
「それから10年経ち、秀がなくなるまで仕送りが途絶えたことはありませんでした。彼はずっと私と子供のことを考えてくれていたんです…でも私は…使わずにとっておきました。使うことができなくて…」
するとずっと黙っていた龍之介が口を開いた。
「使ってやれよ。息子に。」
「え?」
「そうじゃなきゃ、秀はもっと悲しむぜ。」
龍之介は遠くを見つめたまま言った。
「わかりました…」
明子さんは静かに言った。
「うん。んでさ、あんたその後どうしたの?名字変わったから結婚したんだなとは思ったけど。」
龍之介は引き続き聞いた。
「その後、父の薦めでお見合いして、結婚しました。最初は断りましたが、今の主人は秀とのことも知って私と見合いしたいと言ったらしいんです。
主人は父の片腕でもあり、よき理解者でもあったんです。私にはもったいないほどいい人です。」
明子さんは申し訳なさそうに言った。
「今秀明の他に二人子供がいます。」
ふと壁を見ると、家族全員で写っている写真が額縁に入れてあった。
楽しそうに笑い合っている秀明君と妹と弟がいた。
明子さんは下を向いたまま言った。
「それから10年経ち、秀がなくなるまで仕送りが途絶えたことはありませんでした。彼はずっと私と子供のことを考えてくれていたんです…でも私は…使わずにとっておきました。使うことができなくて…」
するとずっと黙っていた龍之介が口を開いた。
「使ってやれよ。息子に。」
「え?」
「そうじゃなきゃ、秀はもっと悲しむぜ。」
龍之介は遠くを見つめたまま言った。
「わかりました…」
明子さんは静かに言った。
「うん。んでさ、あんたその後どうしたの?名字変わったから結婚したんだなとは思ったけど。」
龍之介は引き続き聞いた。
「その後、父の薦めでお見合いして、結婚しました。最初は断りましたが、今の主人は秀とのことも知って私と見合いしたいと言ったらしいんです。
主人は父の片腕でもあり、よき理解者でもあったんです。私にはもったいないほどいい人です。」
明子さんは申し訳なさそうに言った。
「今秀明の他に二人子供がいます。」
ふと壁を見ると、家族全員で写っている写真が額縁に入れてあった。
楽しそうに笑い合っている秀明君と妹と弟がいた。