榊一族

アトリエへ

俺は明子さんの話を聞いてから気になることを聞いてみた。

「美鈴さんの家は今でもあるんですか？」

「わかりかねますが…場所をお教えしましょうか？」

そう言って明子さんは簡単に地図を描いてくれた。

「ありがとうございます。」

俺が礼を言うと、明子さんは更に付け足した。

「私に出来ることはこれぐらいしかありませんが何か他にありましたらおっしゃってくださいね。」

すると龍之介が言った。

「そうだ、この絵知らねぇ？」

龍之介は俺の鞄から『桜の君』の絵の写真を出した。

「まぁ、これは…私ですか？」

明子さんは不思議そうに言った。

え？

そうだ、よく見ると明子さんに似ている！

「まぁ、あんたにも似てるな。でもさ、だったら桜子、あぁ、俺の妹なんだけどさ、ちょい待って。」

長女？

…本当だ、なぜ気がつかなかったのだろう？長女にも似ている！

すると龍之介は長女の写真を出した。

長女は着物を着ている。玄関で写真を撮ったのか、門が背景に写っていた。

「昨日親父の書斎からあさってきたんだけどさ、もっと最近のがよかったかなぁ？あいつの成人式の着物なんだけど。」