榊一族
「なるほどね。でもなんで?」

龍之介がきくと椿君はちらりと俺を見た。

「な、何するのか気になったんだ…」

「じゃあ俺たちに直接聞けばいいじゃん。」

「だって…母さんが…」

椿君の表情が曇った。

「そうだ、おまえと剛どうしてたの?昨日。」

龍之介が聞くと椿君は俺を見た。

「あんた本当に美鈴さんみたいだな。」

椿君は龍之介の質問には答えずに俺を軽蔑するように言った。

「あいつみたいに俺たちを苦しめるんだな。」

椿君は俺を睨みつけた。

「昨日はすみませんでした。」

俺は一応謝ったが…

「椿、何が言いたいんだよ?」

龍之介が椿君を見て言う。

「俺は…」

椿君は少しだけ明子さんを見た。

「母さんを元に戻してほしいんだよ。」

「ならさ、自分も桜子に冷たく当たるなよ。」

龍之介は椿君に言う。

「俺のせいだって言うのか?!」

椿君はいきなり叫んだ。

「そうは言わねぇけど、でもおまえたちが桜子にきつく当たるのはよくねぇよ。桜子傷ついてる。」

「おじさんだって昨日母さんに怒鳴ったじゃないか!」

椿君は更に言い返す。

「あれは兄妹喧嘩だよ。お前も蘭とやるだろ。まぁ俺も悪かったけどさ。」
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