榊一族

「さて、食事にしようかの。」

一通り紹介が済んだので主が言った。

すると時子さん以外の女性陣がたちあがり、準備し始めた。

「この家ではね、家政婦は田中さんしか雇っておりませんのよ。私、先代の考えと同じように、家事は女の仕事であると心得ておりますの。ですから娘や孫たちにもそういうように教育してますの。」
「そうですか。なるほど。」

夫人は古風な考え方をするんだな。

そして料理が配膳台に乗せられて運ばれてきた。

「今日はてんぷらです。」

「この部屋は和食専用の部屋なんじゃ。隣は洋食専用の部屋なんじゃよ。」

主が説明した。

「そうなんですか。」

食事だけでふた部屋あるとはすごい。

そして女性陣がテーブルに料理を運ぶ。

あ、亜樹奈さんが戻ってきた。
亜樹奈さんはさっと一人前とると真っ先に二男の所に運んだ。

「どうぞ、おじさま。」
えりさんのような表情で笑いかける。
「サンキュー！アッキーナ、おまえ最近エリーに似てセクシーになったんじゃねえの？」
「そうですか？」
亜樹奈さんはうれしそうだった。